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コラム

第5回「SLOW ART INTERVIEW」(スローアートインタビュー)
2024.11.07

「SLOW ART INTERVIEW」(スローアートインタビュー)ではスローアートセンター名古屋の企画やイベントにつながりをもつ様々な方や企画をご紹介。
スローアートセンター名古屋で展開中のプロジェクト「明後日朝顔プロジェクト」の担当であり、今年の8月に開催された「明後日朝顔プロジェクト」全国会議に参加された、センタースタッフの日比野曜(ひびのよう)さんにお話をお伺いします!


 
 
Q.「明後日朝顔プロジェクト」はどんなプロジェクトですか?
「明後日朝顔プロジェクト」は日比野克彦さんが2003年の大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレにてスタートさせた’あしたのその次’を思い描く「明後日新聞社文化事業部」の一環としてスタートしたプロジェクト型作品です。新潟県十日町市莇平の集落の住民たちと共に育てられた朝顔は、その後、朝顔の種は全国へと運ばれ、2023年には日本全国27か所に広がりました。朝顔の種が人と人、人と地域、地域と地域とが繋がる大きなネットワークの橋渡しとなっています。


【スローアートセンター名古屋での明後日朝顔プロジェクト苗植え式の様子】
 
 
Q.明後日朝顔プロジェクトの全国会議に参加したそうですが、一体どのような会なのでしょうか。
明後日朝顔全国会議では、各地域の明後日朝顔プロジェクトの活動報告や、各地域のナンバーワン種(KING of TANE)のプレゼン大会などが行なわれます。明後日朝顔プロジェクトに参加する方々の交流会ではありますが、地域とかかわりながらアートプロジェクトを行うリアルな声が交換される場でもあります。毎年開催会場が変わるのですが、今年の開催会場は熊本で、参加者の方々は、美術館館長さん、学芸員の方、保育士さん、カフェのスタッフさん、お寺の住職さんなど、朝顔プロジェクトの拠点を運営している方々が参加されていてバラエティ豊かな会です。


【明後日朝顔プロジェクト全国会議の様子】
 
 
Q.全国大会で決まる「King of TANE」とは何ですか…?
「King of TANE(種)」とは、形の面白さ、大きさ、種が育った過程などを加味して、全国の朝顔プロジェクトで収穫された種の中からナンバーワンに選ばれる種のことです。各地域のプレゼンターがタネに名前をつけて県代表のタネとしてプレゼンをします。ちなみに今年の「king of TANE」は水戸のプロジェクトで収穫された種で、「餃子船」という名前が付けられていました。形が餃子のようであったことと、朝顔を船に見立てたテーマでアニメーションを使ったプレゼンテーションをされていました。
 
 
Q.今回の全国会議ではプレゼン大会の他に熊本城で「肥後朝顔」の見学をしたそうですね!実は、名古屋にも「名古屋朝顔」という朝顔の品種がありますが、「名古屋朝顔」についてと「肥後朝顔」との違いや似ている点を教えて下さい。
江戸時代に武家文化の中で、精神教育の一環として観葉植物を育てるブームがおこり、朝顔を育てる風習がありました。現在も「肥後朝顔」は熊本城内で育てられています。朝顔の他にも「肥後六花」という決まった花の種類があり、地域ではよく品評会が開かれています。
そして、名古屋にも「名古屋朝顔」という朝顔の品種があります。「肥後朝顔」と「名古屋朝顔」とは品種が違うので、花の大きさや仕立て方などが違います。「名古屋朝顔」(「名古屋式盆養切り込みづくり大輪朝顔」)はとにかく大きい品種で大きいほど良いとされています。「肥後朝顔」は花の位置や蔓の伸び方など全体のバランスをみて美しいかどうかを判断します。


【肥後朝顔見学中】


【肥後朝顔】
 
 
Q.プレゼンや現地見学を通して他の地域の「明後日朝顔プロジェクト」様子を見た中で、印象的な思い出はありますか?
全国大会のプレゼンでは地域の紹介や取り組みの紹介が行われます。蔓が伸び悩んでいる、プロジェクトの発展させ方に悩んでいるなど、その地域で直面しているプロジェクト課題なども発表します。午後に交流会があるのですが、朝顔プロジェクトの先輩方からアドバイスをもらえる機会であり、僕も10年以上プロジェクトを続けている方々からいろいろお話を伺い、たくさん交流しました。
プロジェクトの展開方法がみなさん本当に多種多様でした。実際現地で見た熊本のプロジェクトでは、熊本市現代美術館で育てた朝顔から発展して、近くの商店街、小学校、など街全体に明後日朝顔プロジェクトが広がっていった様子です。


【熊本商店街の明後日朝顔プロジェクト】
 
 
Q.明後日朝顔in名古屋の今後の抱負を教えて下さい!
朝顔は毎日お世話をすることで愛着が湧きます。毎日どんどん成長して、たくさんの蕾をつけますが、花は1日しか咲きません。その儚さにも愛おしさを感じます。伝統的な「肥後朝顔」「名古屋朝顔」ももちろん毎日手入れが必要で、手間をかけたからこそ綺麗に咲いた時の喜びが大きいことが魅力です。このように朝顔の魅力を通じて、「明後日朝顔プロジェクト」を発信し、プロジェクトを名古屋・栄の人々にとって身近な存在にするとともに、プロジェクトのサポーター、メンバー、一緒に取り組む仲間を増やしたいです。また、スローアートセンターナゴヤには特徴として、朝顔プロジェクトと並行して壁画制作を行う「Vine painting Project」を行っていますので、他の地域のプロジェクトのように工夫をしながら、名古屋ならではのプロジェクトにしていきたいです。
そのためにも、スローアートセンター名古屋に足を運んでくれる方々を増やして行けるよう、スタッフとしても頑張って行きたいですね。

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