「SLOW ART INTERVIEW」(スローアートインタビュー)ではスローアートセンター名古屋の企画やイベントにつながりをもつ様々な方や企画をご紹介。
第6回は2024年10月にSLOW ART CENTER NAGOYA広場で開催されたイベント「ODORIBA」主宰メンバーの 山田卓哉(やまだたくや)さんにお話をお伺いします!
credit:Kana Kurata
Q.自己紹介をお願いいたします!
NPO法人大ナゴヤ・ユニバーシティ・ネットワークの理事として活動すると同時に、フリーランスでコーディネーターをしています。地域のリサーチ、プロジェクトやイベントの企画など、東海圏を中心に活動しておりますが、自分のルーツが北海道にあるので、東北やその他地域の先輩方や友人から相談を受け、各地方のプロジェクトメンバーとして事業に携わることもあります。
Q.名古屋市や愛知県、東海圏ではどのようなプロジェクトに関わっていらっしゃるのでしょうか。
「やっとかめ文化祭」や「森、道、市場」の他に、最近では美濃焼の産地で開催されている「CERAMIC VALLEY CRAFT CAMP」(セラミックバレークラフトキャンプ)の運営メンバーとして携わっていました。「森、道、市場」や「SOCIAL TOWER MARKET」に関わっている背景もあり、実行委員の方からお声かけをいただいたことがきっかけです。岐阜県瑞浪市から、土岐市、可児市、多治見市の4市を巡回するクラフトフェアで、来年が最終地点の多治見市での開催でした。また、2024年11月に愛知県一宮市で開催された「omnibus」(オムニバス)というイベントにも関わっていました。一宮市にある「よみかけ文庫」という本屋さんと「ODORIBA」でも本の展示販売を企画をしてくれていた「美鶴堂」のメンバーが企画したプロジェクトです。もともと「美鶴堂」のメンバーは「SOCIAL TOWER MARKET」にボランティアスタッフとして参加してくれていて、そこからの繋がりです。そのような感じで最近はマーケットイベントに携わることが増えました。
【SLOW ART CENTER NAGOYA広場で開催されたイベント「ODORIBA」の様子】
credit:Kana Kurata
Q.スローアートセンター名古屋で「ODORIBA」を展開する上で、アートセンターという場所に期待することであったり、何か求めているイメージはありましたか?
「ODORIBA」を開催するという視点でいうと、場所としての魅力や求心力を持っていて、その場所であればどんなイベントでもたくさん人が来るというスペースを求めているのではなく、まだそこまで使い倒されていない、生まれたばかりの白紙の部分を持ったスペースで開催できたのはよかったかなと思います。僕たち「ODORIBA」のコンセプトとして、都市のスキマで企画を作りたいという意図があったので、スローアートセンター名古屋は自分たちの使いたい場所のイメージとあっていたのかなと思います。
期待や希望という面で言うと、名古屋・栄地域で都市開発が進んでいく中で、これくらいの規模感の広場空間はなかなか無いので貴重だなと思います。スペースとしてあったとしても商業色の強い雰囲気であったり…それはそれで楽しいけれど、あまりその場所を使ってわざわざ新しいコンセプトの企画を開催したいという気持ちにはならないので、もう少し匂いの弱い、公共性が高い空間を求めたくなります。スローアートセンター名古屋にも、空間としてもそのような雰囲気が続いていったらと思います。
credit:Kana Kurata
Q.平和で緩やかな雰囲気をつくり出すためにアートを含めた芸術分野は相性が良いと考えており、スローアートセンターとしても大切にしていきたいところです。山田さんの立場から見て、アートとまちづくり、産業、観光など…その他の分野が交わるためのきっかけはなんだと思いますか?
長い目線でいうと、暮らしに接続していることだと思います。「CERAMIC VALLEY CRAFT CAMP」に携わっていた際に知ったことなのですが、東濃の子供達は給食の食器が陶器なのだそうです。だから、器というものは割れるものであるということや、割れた器がまた別の素材となって再利用されてものづくりに使用される、ということを小さい時から知っていて、そういった環境がすごく良いなと思いました。それはプロダクトの例ですが、アートの文脈としても同じようなことが言えるのでは無いかと思います。例えば「やっとかめ文化祭」を通して考えると、「富士山公園」とか。名古屋の公園によくある富士山型の滑り台遊具は、実は名古屋発祥の遊具です。僕の地元にはなかったので変な公園だなと思っていましたが、名古屋の方にとっては当たり前の風景で、でも発祥については知らない方がほとんどで、そこも含めて衝撃でした。
小さい頃当たり前にあったものに対して、大人になって、事実を知ることで突然湧き出る地域への愛着がというものがあるような気がしています。その刷り込みのようなものがどのような理由から生まれていたかを考えるときに、地域に存在する作家の作品がきっかけだったり、その土地の文化的側面に触れていた経験から生じるのでははないでしょうか。「この場所は一体なんだったんだ」という疑問を物心ついた時に思い出して、文脈を追っていって、価値観が形成される。長期的な時間軸で考えると、なんとなく、アートに対する重要性とか価値観を形成するタイミングってそういう時なのかなと思います。
credit:Kana Kurata
Q.今回の広場利用を通して、今後スローアートセンターでもっとこういうことをしてみたいなど、アイデアが生まれていたら教えてください!
「ODORIBA」のお客様の声で「こんな場所があったんだ」という反応をよく見かけましたし、お一人お一人の滞在時間が長く、ゆったりしていってくれた人が多かったなという感想です。僕たちが準備していた什器の効果だけではなくて、センターにある既存の設備やベンチ、たくさんの植栽があったり、芝生があるという施設の設備も影響していたと思います。搬入や準備をしている時に普段スローアートセンターに立ち寄る人々の様子や、センターの日常の場面を垣間見ました。そういう、ふらっと立ち寄ってくれる人がちょっと一杯やって行けたりとか、気軽にアプローチできる仕掛けをこの場所でやってみたいなと思いました!
credit:Kana Kurata
「ODORIBA」の公式インスタグラムではイベントアーカイブを公開しています。
詳細はこちらからご覧ください。
https://www.instagram.com/_odoriba_/